宇宙水準点

宇宙水準点〈世界基軸教育と令和哲学〉

令和哲学者 NohJesu と共に歩む令和維新の道〜世界基軸教育によって人類がワクワクでひとつになる〜

読了「覇権の世界史」

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「覇権の世界史」を読みました。

 

まず読んだ感想を一言いうと、今までは部分の知識を学んだことはあったがピンとこなかったものが、世界史をわかることでそれらの知識がどの部分の知識なのかがわかり、ひと繋がりになっていくという喜びがあったことです。

 

全体をわかるということは部分もわかるということなので、令和哲学的にも理にかなっていますね。

 

この本では、大まかに陸、海、空の覇権を握ったモンゴル、イギリス、アメリカの歴史を中心に、それらに関わった周辺の国々の背景を絡めながら話が進みます。

 

まず、大地溝帯から出発した人類が地球温暖化による乾燥から逃れるために大陸の河川付近に移動して四大文明を築いたところから始まります。

 

四大文明では、それぞれの文明に根ざした都市が発展し、人間が集まったところではその人間たちの知恵の集結により学問・宗教が生まれます。

 

一方、都市に定住した農耕民にはならず、偶蹄類を飼育する牧畜民となる部族もありました。そのような牧畜民は途中で馬を手に入れることで遊牧民となります。

 

牧畜民が馬を手にして遊牧民となると、行動範囲が大幅に広がります。陸の覇権を理解する上では、この遊牧民こそが要になるのです。

 

大陸の様々なところに散った遊牧民の生活は、気候や疫病などで農耕民族より不安定で、その生活を安定させるために、しばしば農耕民を襲撃していたとのこと。

 

そのような襲撃を繰り返す中、影響力を持った人間が出現すると、その人を中心にそれぞれの部族が繋がり合って帝国が生まれます。そしてその中心人物が亡くなると、場合に応じて瞬く間に帝国は消滅していくといった国の生滅が繰り返されるようになります。

 

そのようにしてペルシア帝国、ローマ帝国イスラム帝国モンゴル帝国オスマン帝国といったように陸の歴史が進んでいったのです。

 

ローマ帝国までは武力を使った結集を作っていましたが、イスラム帝国では全ては神アッラーが作ったものという神話により結集を作るようになります。そしてさらには、モンゴル帝国では一神教多神教など様々な宗教を尊重した繋がりを作るなど、次々に出現する帝国では少しずつ様相が異なっていました。

 

そして、このように様々な帝国が現れては消える中、15世紀、スペインやポルトガルが新大陸やインド洋の発見を成します。それに次いでのちに本格的な大航海時代の幕開けとなる宗教改革が起こります。

 

その改革後プロテスタントは、カトリックの中心であったスペインからイギリスやオランダにヨーロッパの中心を移し、大々的に大航海時代が開かれていきます。プロテスタントカルヴァン派と呼ばれる派閥は、死後にこそ救いがあるという考え方をしていたため、積極的に海を目指したことも大航海時代に拍車がかかっていく原因になったのだと思います。

 

またさらに、それとは別にその時代に拍車をかけたのが、イギリスの産業革命です。

 

もともと寒冷な地域だったイギリスでは石炭の採掘をしていましたが、炭鉱の中に溜まる地下水を処理しなければならない問題がありました。

 

その解決策として発明されたのが蒸気機関です。この蒸気機関が様々なところに応用され機械化が進みましたが、それまで帆船だった船も蒸気機関船へとパワーアップを遂げたのです。

 

結果世界中に、航路のネットワークを敷き、石炭を補給する港を作り、港と炭鉱を結ぶ鉄道を敷くことになったのです。また通信においても、航路に沿って海底ケーブルを敷くことでそのネットワークを世界に持つことになります。

 

このような流れに乗ってイギリスはじめヨーロッパは裕福になり、人口も増えていきました。そうなると新大陸であるアメリカをはじめ、世界各地に移住する人が現れたのです。その移民の数は4000万人を超えるとのこと。

 

そのような数の人口を維持するためには食料を確保しなければならず、世界中の植民地で農場や牧場を作り、そこで作られた商品を蒸気商船により輸入するようになります。このようにして世界の経済の覇権さえもイギリスは握るようになったのです。

 

新大陸の発見から移民が入るようになったアメリカは、瞬く間に開拓し尽くされると、アヘン戦争などにより不安定になった中国を視野に入れるようになります。それと同時期に台頭したドイツはイギリスに対抗し、イギリス、フランス、ロシア(三国協商)とドイツ、イタリア、ハンガリー三国同盟)を中心とする第一次世界大戦が起こります。

 

産業革命の恩恵はそれまでも様々な方面に現れていましたが、皮肉にもこの第一次世界大戦でもその影響は大きく反映され、ヨーロッパ全土に壊滅的な被害を与えました。結果、ヨーロッパはそれまでに蓄積してきた富の大部分を失うことになり、イギリスは覇権の維持が困難になります。

 

そうすると今度はそのヨーロッパの状況を見ていたアメリカが世界最大の債権国家となり、電器、通信、自動車産業を発展させるようになります。そしてさらにはプロスポーツ、ジャズなど大衆文化が盛え、大量消費社会へと進化していきました。

 

この頃には航空機も開発されるようになり、空の覇権をアメリカが握る時代に入っていきます。

 

最初でこそアメリカは覇権を握るような力を持っていませんでしたが、イギリスと協力して戦略的に動いていきます。言語化こそなかったものの覇権を獲得するためにロシア、中国、日本を敵と見なすようになり、特に明治維新を成功させた日本を第二次世界大戦へと誘導していったのです。

 

最初から勝算のあった第二次世界大戦に勝ったアメリカは、朝鮮戦争キューバ危機、ベトナム戦争を通してソ連との対立を深めていきます。アメリカは覇権をとることを大義名分に、この冷戦を利用して世界規模でNATO加盟国を従えて、ソ連中心のワルシャワ条約機構の国々と対立しました。

 

しかしアメリカとソ連では力の差は明確で、ペレストロイカの失敗とともにソ連は解体、世界はアメリカ一強の時代に突入します。そうなるとアメリカは予め目をつけていた中国に資本と技術を投入し、中国をアメリカの巨大な下請け工場とする世界戦略が具現化されることとなるのです。

 

ところがしばらくして次に来たのが、世界を席巻するメイドインジャパンも相まった米ドルの国外流出、アメリカの国際収支の赤字です。ドルの価値が低下したことに対して当時の大統領ニクソンは固定相場制から変動相場制へ移行させましたが、アメリカの覇権は大きく揺らぐことになります。

 

ほぼ同時期に、第4時中東戦争イラン革命の勃発により石油価格が高騰しましたが、それでもなんとか石油売買に使われる基軸通貨としての座を維持していました。世界経済はドルの大幅な下落とエネルギーコストの急上昇によりデフレに突入、先進国の製造業は安い労働力を求めて資本と技術を東アジア、東南アジア各国へ一斉に移転させました。

 

そのような経緯でアジア各国の経済が急成長する中、アメリカは覇権を維持するために軍事技術のインターネットを民間に移転させると同時に、そのIT技術を使った経済の金融化を進めていきます。これが金融・情報産業へとなっていきます。

 

途中、債券の証券化による金融商品金融派生商品により引き起こされたリーマンショックを経て、現在は巨大企業GAFAによりアメリカの覇権は再編されています。

 

アメリカに世話になっていた中国でも、そのリーマンショックを境にアメリカからの自立の動きが始まり、国内インフラの整備に次いでファーウェイ、アリババ、テンセントなどGAFAに追いつこうとする巨大なIT企業が現れています。

 

この流れで中国に主導権を握られると、世界の覇権は中国にとって変わられる恐れがあるとしてアメリカは警戒し、2018年にはファーウェイ潰しに入ったのです。このように今、5Gをめぐる米中の覇権戦争が世界規模で繰り広げられているのです。

 

ざっとですが本書の内容をまとめてみました。今回はかなり濃度に偏りがありますが目を瞑っていただければ幸いです。

 

とても共感したのは、本書の最後に書いてあった「覇権を握るということは自国の強大化もしくはチャレンジの姿勢だけではなしえない」ということです。

 

ひと昔前なら様々な分野で開拓の余地が残っていたので、開拓すれば国も個人も豊かになるという方程式のもと国はその開拓を競うことができました。だから我先にと覇権を握ることもある程度は許されたのだと思います。

 

ところが今は、ほぼ開拓され尽くして特に個人、場合によっては国も豊さを感じることは少なく、逆に貧富の格差が開き、超格差社会の到来まで言われている状態です。トランプ大統領の時に明るみになった白人労働者の問題や、日本における通り魔などの事件はそれら貧富の格差からくる不安定さの象徴ではないでしょうか。

 

要は覇権を握ろうとする行為と個人が豊かになっていくことに乖離が起こっているのだと思うのです。

 

それに加えて今の時代は、インターネットによって世界で起こっていることは誰でも見ることができます。自分達と切り離された状態で覇権を争う国や企業をみると気持ちがいいものではありません。

 

だから私たち人類はここにきて"覇権を握る"ことの意味を考え直す必要があるのだと思います。

 

また、アメリカが中国に資本と技術を移し中国を下請け工場のようにしたときに、自国内の経済の失速が起こり金融経済に舵を切ったところでは、何か行動を起こせばその皺寄せは免れないのだということを感じました。

 

というのは、覇権を握ろうと世界に出れば自国を犠牲にしてしまう。だから別の経済大陸を用意するが、今度はそれにより超格差社会を生んでしまう結果になっています。これはもうイタチごっこに他なりません。

 

どう転んでもその皺寄せが別の部分に現れ、全体的には苦しくなっていく一方でしょう。

 

このイタチごっこをストップさせ、"覇権を握る"ことの意味を考え直すには何が必要でしょうか。

 

それが令和哲学・世界基軸教育なのです。

 

個人の心の豊かさと世界と各国の経済を融合できること、さらには世界史を一貫して人類が求めてきた世界を具現化できること。

 

これらを満たすことができる令和哲学・世界基軸教育は、まさにこの時代の必須コンテンツと言えるでしょう。

 

本日も最後まで読んでくださりありがとうございました。