宇宙水準点

宇宙水準点〈世界基軸教育と令和哲学〉

令和哲学者 NohJesu と共に歩む令和維新の道〜世界基軸教育によって人類がワクワクでひとつになる〜

令和哲学と書籍「シンギュラリティは近い」

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「シンギュラリティは近い」を読んでいます。

 

この本は、人工知能研究の世界的権威であるレイ・カーツワイルの著書です。

 

本当は読了してから感想と令和哲学から見た解析を書こうと思っていたのですが、何しろ専門的な単語や概念の羅列と言っても過言ではなく、素人の私には読むのに時間と労力がかかって仕方がないので、半分くらい読んだところでまとめてみようと思います。

 

理解に時間がかかるが、その分理解したら面白い。前に世界史の本を読んだがそれは人類が始まってからの歴史である一方、この「シンギュラリティーは近い」ではビッグバン以来の物質と生命の誕生とその進化について書かれている。

 

原子の誕生から始まって、DNA、脳、テクノロジー、テクノロジーと人間の知能の融合、そして宇宙の覚醒といった順序だ。

 

今の時代はちょうどテクノロジーと人間の知能が融合する時代に差し掛かっていて、これからは例えば、ナノボットが体内や脳の毛細血管の中に入り込みニューロンに直接作用することでヘッドセットなどの外部装置を使わずにVRを再現できたりなど、非生命的な知能を拡張することができるようになっていく。

 

またテクノロジー進化の理論において、進化とは複雑性を増すことだと考える研究者は多いが、必ずしもそうではなく(多くの場合は複雑性を増すが)、進化はより良い答えを獲得することなのだと言っている。だからシンプルになることで問題が解決される場合もあるのだと。

 

だから進化において複雑性にだけフォーカスすることはできず、秩序という概念を導入しており、進化が進めば進むほど秩序が増大すると見ている。ここでいう秩序とは目的に沿った情報だ。そして多分、この情報というのはあらゆる存在や概念、出来事すべてが当てはまるのだろう。

 

そして、この進化の速度はどんどん増しており、そのサイクルが短かくなり指数関数的に伸びているのだということ。そしてさらに、経済的な観点から見ても指数関数的な要請が見られると言っている。

 

そしてここからが本当に面白かったところではあるが、人間の脳のコンピューティングについてだ。

 

人間の脳はニューロンを流れる電気信号によって機能しているが、これは半導体を流れる電気のオンオフでコンピューターが制御されることと同じだ。その観点から人間の脳のコンピューティングはどの程度のものなのかを見ていく内容になっている。

 

人間の脳のコンピューティングは、部分の作動を算出したあとそれがどの部分なのかを鑑みて全体のコンピューティングを割り出すことができるらしいが、それに則って考える。

 

例えば、人間の脳の視覚を司る部分は一秒間に約1000万回の処理をする。そのうち一回の処理をコンピュターの命令に換算するとだいたい100回の命令になる。だから視覚をコンピューターで再現するとだいたい1秒間に10の9乗回の命令が必要になり、これを脳全体のニューロンの量に換算すると約10の14乗回だ。人間の脳はこれだけの命令を一秒間に出していることになる。

 

他の機能を司る部分を元に換算した研究結果も多数あるが、だいたいこの数値に落ち着く。人間の脳機能的なことに関してはこれで十分だが、一方で特定の人格を再現するとなるとさらに細かく見る必要があるが、それでも一秒間に約10の19乗もあれば再現可能なのだそうだ。

 

次にコンピューティングの限界についてだ。コンピューティングの中枢を司る半導体は年々高性能なものが開発されているが、それには物理法則による限界がある。

 

それが何かというと熱の散逸だ。プロセッサの速度を上げることを追求しても熱の処理が追いつかず、それ以上速くできないのだ。しかし一つのプロセッサーで速度を追求するのではなく、一定の速度のプロセッサーをいくつも並列にすることでエネルギーの消費と熱の問題は解決できる。CPUスペックでコアプロセッサーという言葉があるが、コアは一つ一つ並列に並んだCPUを指す。

 

また可逆性コンピューティングにより熱の発生しないエネルギーを必要としないコンピューティングもあるようだ。

 

そしてさらに面白かったのが、ナノコンピューティングだ。静止しているように見える物質の中は実は動いている。原子間の電子のやりとりや原子のスピン、電磁場の展開などコンピューティングに相当する激しい動き(エネルギー)がある。

 

理論上、1キログラムの物質に含まれる原子の数約10の25乗個分のコンピューティングを計算すると、1秒に10の42乗回の計算を計算をしている事になる。もちろん物質の中の原子の並びがランダムであるからコンピューターとしては作動しないが、もしも意図的に構成したのならその速さで計算可能なコンピューターになる。

 

またナノコンピューターの限界について触れる。物質1キログラムがもつエネルギーはE=mc2より10の17乗。これをコンピューティングに必要とするエネルギーに換算すると5✖️10の50乗回/秒となる。これは全人類が1万年間でやってきた脳の処理を1万分の1ナノ秒で処理できる速度だ。

 

しかしこれは熱核爆発を想定したエネルギーであり、いうまでもなくこのままでは理論でしかない。原型を留めるためには、上で述べたように実際は1秒間に10の42乗回の計算に落ち着く。現在のナノテクノロジーの限界がこの値ではあるが、ここからどのように進化して10の50乗回という数字に近づけていくのかがこれからのコンピューティングの未来だ。

 

そして、ナノの先をいくピコテクノロジー、フェムトテクノロジーについてだ。これらが実現したならナノテクノロジーの限界をも超えていける。また今までは光速不変とされてきたが、それが増加しているという推論もある。光速の限界は科学の限界を決める一つの指標でもあるので、それが増加するということはコンピューティングの進化を大きく後押しすることに繋がる。

 

半分を読んでざっと私が面白いと思ったところを挙げてみた。

 

ナノテクノロジーは本当にすごいと思う。物質のコンピューティングのところであったように、言ってしまえば全てがコンピューターなのだから。5G世代では IoT が普及すると言われているが、原子コンピューターをイメージすると簡単に実現しそうだ。車の自動運転などは朝飯前で、服も靴も家自体も全部がコンピューター化されることはそう遠くないと思う。

 

そして脳にナノボットが入ってデバイスなしにVRを再現できるようになったら、現実と仮想現実の境がなくなっていくだろう。これは人間と機械の融合の一例に過ぎず、それ以外にも人間のあらゆる知能が非人間的に拡張されていく。本の冒頭にもあるのだが、「生きる意味を考える上で拠り所としている概念がすっかり変容してしまう」というのは本当にそうだろう。

 

まだ後半が残っているので令和哲学的観点で解析するのは控えるが、後半もどんなふうに展開していくのか楽しみだ。

 

本日も最後まで読んでくださりありがとうございました。