消費者物価指数が前年同月比で2.5%上昇しています。
変動の幅の大きな生鮮食品を除いても前年同月比1.9%の上昇と、アベノミクスで語っていたインフレ率2%の数値を超えるようになっています。
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/kubu.pdf
ここにきて黒田バズーカが行った量的緩和をやめるのか否か、今後の行方が気になるところです。
もしやめるとしたら金利の上昇により住宅ローンが急増して破綻する人が出てきてしまいます。
例えば某銀行の住宅ローンシュミレーターでざっくり計算すると、3,000万円の住宅を購入するのにローンを組んだ場合、35年返済金利0.65%だとして月々79,880円の支払いになります。一方、同条件でアメリカの金利5.1%に設定すると月々15,3,324円も支払わなければなりません。
住宅ローン利用率は43%を超えるので、いきなり金利5.1%にならないとしても日銀が金利を上げた場合は、多くの人の月々の支払いが高くなり人々の家計を圧迫することは避けられません。
黒田バズーカをやめないとしてそのまま低金利を維持するとしたら、FRBが金利を上げていった時に日米金利格差がさらに開き円安が進むことで日本の物価が上昇し、もっと景気が悪くなります。
今私たちがスーパーなどで食料品が高くなっているのを肌で感じているように、輸入品というだけで高い値段がつくようになり、さらにはエネルギー価格の高騰によってそれらが絡む商品・製品は軒並み価格が高くなるのです。給料が上がらない中で食料品・日用品への出費が嵩むようになるのは、特に低所得者には地獄です。
このように金融政策をやめてもダメ、続行してもダメというのが日本の経済状況なのです。
そしてこの状況には構造的な世界の情勢が絡んでいます。
まず一つはコロナパンデミックです。
日本では感染者が出てはいるが、流行り始めた時ほど日常生活に支障をきたすことにはなっていません。しかし、隣の国の中国ではまるで状況が違います。上海や深圳はロックダウンされ、十分な食料を確保することもままならない状況です。
そのような状況だったら仕事も止めざるを得ないのでサプライチェーンはストップし、市場への供給量が減って物価を押し上げることになっているのです。
このようにサプライチェーンが壊れて物価が上がる時に円安になると、円ベースでみた時にさらに価格が高くなって大変なことになってしまうのです。ちなみに中国からの輸入に頼っているものは以下の記事にあるように半導体を要するものが多くあり、日常に使うものも多いのでリスクが高くなっています。
そして二つ目。ウクライナ危機からくる原油価格高騰も物価上昇の引き金となっています。
というのは過去にもあったように、今必要だからといってたくさん作っても突然必要とされなくなる時がくると大ダメージを被るからです。産油国もそうなることを予想しておいそれと生産量を増やすことはしないのです。そうなると結果的にエネルギー不足に陥り、その価格が上がってしまうのです。
今、日本が置かれている状況は、このようなパンデミックとロシアのウクライナ侵攻などが背景にある状態での日米金利格差拡大です。
そしてこのような中、岸田総理は以下ようなことを言っています。
ざっくりいうと日本に投資をして欲しいと呼びかけると同時に、日本の1000兆円の貯金を投資に回すということですが、今の世界の状況では日本企業に投資する人は多くないのではないでしょうか。そうなると今まで以上に円が海外に流出して、円安を推し進めることになってしまいます。
極端なことをいうとこのまま放っておけば1ドル500円、1ドル1000円などということにもなる可能性もあるということです。
そのような状況になるとどうなるのかは、以下の記事を見るとイメージしやすいかと思います。
物価が前年比約70%上昇ということなので日本でいうと350円の牛丼が595円、自販機の120円のジュースは230円になっている状況です。日本ではすぐにここまで物価が上がることは考えにくいですが、金融緩和を続けることはその可能性があるということであり、もしもそうなった時には生活が大変なことになります。
そしてさらに、今まで日本がそれなりに安定していたのはこの1000兆円の貯金があったからであり、それを動かして外貨を買うなどということになると本当に日本は大変なことになってしまうのではないでしょうか。
バブル崩壊以降今まで金融政策によって騙し騙しやってきましたが、ここにきて小手先のお金でなんとかするという政策は通らなくなっているのが現状です。
今こそ金融に左右されない新産業、新商品が必要です。そしてそれは令和哲学、 nTech から生み出すことができるのです。
本日も最後まで読んでくださりありがとうございました。